日本の神様は八百万神(やおよろずのかみ)と言われるように、たくさんの神様がいます。
今回は日本神話の視点から、「誰が最強の神様か?」というテーマで紹介します。
あくまで「古事記」「日本書紀」の視点での最高神なので、客観的にその理由を解説します。
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1位:天照大神(アマテラス)
日本の神様 最強(最高神)1位は、太陽の神・天照大神(天照大御神・アマテラスオオミカミ)です。
1位にした理由は、「古事記」や「日本書紀」はアマテラスを中心に書かれているから。
アマテラスのために書かれていると言っても過言ではないでしょう。
イザナギがアマテラスに勾玉を授け、太陽神として天から治めるように言う
父・伊邪那岐命(イザナギノイコト)が自分の首飾りや勾玉をアマテラスに授けたとあります。
当時、勾玉は単なるアクセサリーではなく、常に身につけておく宝器とされていました。
子供にはアマテラス以外に、月読命(ツキヨミ)、須佐之男命(スサノオ)もいましたが、その中からイザナギはアマテラスを選んでいます。
イザナギは自分の最も大切な宝器を娘のアマテラスに与え、「天に昇って高天原(たかまがはら)を治めよ」と言いました。
これは「最高神として日本をまとめていってほしい」という現れなのです。
「古事記」「日本書紀」はアマテラスを天皇家の祖先と位置づける物語りの構造になっている
「古事記」は712年に、日本書紀は720年に作られました。
7世紀末〜8世紀初頭、日本は唐・新羅など外圧が強まる中、「天皇の権威を絶対化する物語」が必要となったのです。
特に壬申の乱(672年)で成立した天武天皇の政権は、自らの血統を正当化するために「アマテラス=皇祖神」の系譜を強調しました。
そのため、中臣氏(=のちの藤原氏)は、祭祀と政治を担う一族として国家プロジェクトに積極的に関与し、神祇官としての立場を強化しました。
天皇家の正当性を示すために作られた国家事業でした。
そのため「古事記」「日本書紀」では、アマテラスが天皇家の祖先であるという物語の構造が作られています。
神代から現在まで天皇が続くという枠組みが形づくられたことで、アマテラスこそが最強の神と位置づけられたのです。
このような理由から、他にも魅力的な神々は数多く存在しますが、アマテラスが第1位であるという位置づけは変わることがありません。
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2位:天之御中主神(アメノミナカヌシ)
日本の神様 最強(最高神)2位は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)です。
個人的には1位なのですが、アマテラスの1位は揺らぐことはできなので2位にしました。
宇宙と繋がる神様で最高神
アメノミナカヌシは宇宙が誕生した時に最初に現れた三柱「造化三神」で、その中でも最初に登場した神様です。
八百万神の中で最初に誕生した神様。
「古事記」には天と地が初めてできたときに、初めて生まれた神様はアメノミナカヌシと書かれています。
天の中央に存在して支配する神様で、宇宙と繋がる神様で、最高神であることから、最強の神様なのがわかります。
その後、妙見信仰は宇宙の全てを支配する最高神は「北極星」ですが、神道では宇宙を作った神様がアメノミナカヌシなどの造化三神であることから同一神とされ、最高神として神格化されたのです。
姿を見せないがいつも人々を見守っている
アメノミナカヌシは神や人前には姿を表さない神様ですが、目に見えない形であらゆる人間や自然物がもつ正しい心と繋がっていると考えられています。
全ての人間や自然物と繋がる「世界の中心」にいる仏教の「梵(ぼん)=宇宙の根源的な言葉」に相当する神様が誕生したのです(※)。
(※「古事記」を作る時に参考にしたと考えられている)
そこから普段は姿を見せないが、いつも人々を見守っているという発想になったとされています。
以上の理由からアメノミナカヌシを2位にしました。
隠れているのがミステリアスでいいですね。それでいながら助けてくれる神様なのです。
仏教など神仏習合や同一神とされた経緯もあり好き嫌いがわかれますが、個人的には一番好きな神様です。
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3位:高御産巣日神(タカミムスビ)
日本の神様 最強(最高神)3位は、高御産巣日神(タカミムスビノカミ)です。
2位のアメノミナカヌシと同様、造化三神の一柱。
アマテラスがタカミムスビと共に高天原の神を集めて会議をする
最初に登場する造化三神の一柱・タカミムスビは、一度はすぐに姿を消しますが、その後、何度か神話に再登場します。
アマテラスは、優れた神の知恵を借りたいと考え、造化三神のタカミムスビに声をかけました。
そしてアマテラスはタカミムスビを招き、高天原の神々を天の安河に集めて会議を開いた、と「古事記」は伝えています。
この神話から見ても、アマテラスと同じく、タカミムスビも最高神(最強の存在)として位置づけられていたことがわかります。
アマテラスと一緒に国譲りの交渉と指導を担当
「古事記」によると、タカミムスビはアマテラスと並んで国譲りの交渉を主導しました。
また、「日本書紀」の異聞では、タカミムスビの指導のもとに国譲りがなされたとも書かれています。
以上のことから、古くからタカミムスビがアマテラスよりも格の高い神様であることは明らかだと国学者は分析しています。
また、タカミムスビがアマテラス以前の最高神であるとする意見もあります。
5世紀以前は「産霊(むすび)の神」であるタカミムスビが信仰されていた
国魂の神の祭祀が行われていた5世紀以前は、国魂の神を教え導く高い権威を持った「産霊(むすび)の神」が信仰されていたと考えられています。
そんな中、大和朝廷が神話をまとめていく中で、大和の大物主神(オオモノヌシノカミ)を助けた産霊の神がタカミムスビとされたのです。
(一方、大国主命(オオクニヌシ)の治める出雲を守る産霊の神は、同じ造化三神の一柱である神産巣日神(カミムスビ)になった)
以上のことから、タカミムスビは格の高い神様であったことから、皇室の権威付けのために邇邇芸命(ニニギノミコト)の母が、タカミムスビの娘となったと解釈されています。
「古事記」「日本書紀」の編纂前はタカミムスビ・カミムスビが最強の神様として祀られていたと考えられています。
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まとめ
日本の神様 最強(最高神)ベスト3は以上のような結果になりました。最高神は神話の最初に登場していたということです。
「古事記」「日本書紀」を元にかなり客観的に順位を決めたのがわかっていただけたでしょうか?
もちろん武甕槌命(タケミカヅチ)など、最強という名にふさわしい神様が他にもいますが、それでも今回紹介した神様の指示の元に派遣された神様であることから、やはり最強なのは判断して実行させた神様ことが最強であるという結論に至ったのです。
今回始めて神様のことを知ったという方は、まずはこの3柱の特徴を理解するところから始めると、日本神話が楽しく学べると思います。
3柱ともそれぞれ詳細ページがあるので、リンク先からぜひ読んで理解を深めていきましょう。
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