道を歩いていると、分岐点ごとに道祖神という神様が祀られているのを見かけます。
この道祖神とはどういう神様なのでしょうか?また、なぜ、たくさん見かける場所があるのでしょうか?
道祖神とは?その意味や別名、道祖神のご利益についてご紹介します。
道祖神とは?民間信仰から広がった
道祖神とは、村の境界や峠、道の分岐点などに祀られていて、外来の疫病や悪霊を防いでくれる神様です。
読み方は「どうそじん・どうそしん」。
村の内側と外側の境界に祀ることで、その集落を守る役割を果たしていたことから、民間信仰により広まりました。
道祖神の起原は不明ですが、奈良時代や平安時代の史料に「道祖」という文字があることから、この時期から始まったようです。
最も古い石碑の道祖神は、1505年(永正2年)安土桃山時代に建造されたもので、長野県辰野町の沢底地区にあります。
日本には神仏がありますが、それとは別に地元の信仰というものがあります。民間信仰と呼ばれ、その一つが道祖神です。
「宗教と民間信仰」によると、村に悪霊や邪神が忍び込まず、五穀が実り、子孫が繁栄するようにと道祖神を祀ったと書かれています。
宗教とは別に、地元の人達が願いを込めて自然と行ってきたのが道祖神と言えるでしょう。
道祖神の種類
単体でで合唱している「単体道祖神」、文字碑型の「文字道祖神」、経が刻まれた「題目道祖神」、丸石、不思議な形の石を祀ったものなど幅広い種類があります。
その中でも一番多いのが夫婦の絵が刻まれた石像・石碑が「双体道祖神・夫婦道祖神」です(上の写真参照)。
参照:高原社
この夫婦の道祖神は、サルタヒコ(猿田彦大神)やアメノウズメ(天宇受売命)と結びついたことから来ています。
その他、道祖神を祀る神社もあります。
京都の道祖神社には、サルタヒコ(猿田彦大神)と妻であるアメノウズメ(天宇受売命)が祀られています。
▲文字道祖神。
道の分岐点に道祖神がある集落や村では、今でも小正月(1月15日)に火まつりをする「道祖神祭」、お正月飾りや書き初めなどを燃やす「どんど焼き」が行われます。
その焼いた火でお餅を焼いて食べるとその1年が健康に過ごせると言われており、現在でも伝統行事として残っている地域もあります。
道祖神の別名
道祖神は、別名が多くあります。
- 塞の神(さえのかみ):邪悪なものを防ぐ神様
- 岐神(ちまたのかみ)
- 辻の神
- 石神(しゃくじん)
- 道陸神(どうろくじん)
- 障の神
- 幸の神(さいのかみ・さえのかみ)
- サルタヒコ(猿田彦大神):道案内や導きの神様
色々な村や集落により呼び方は変わります。
道祖神のご利益
道祖神のご利益は複数あります。
古い道祖神は、道の神や境界神として始まりましたが、その後、色々な願いや地元の信仰が合わさって広まって行きます。
- 厄除け・厄除け
- 縁結び
- 安産祈願
- 子孫繁栄
- 夫婦円満、男女和合:サルタヒコ(猿田彦大神)とアメノウズメ(天宇受売命)の夫婦より
- 旅行:サルタヒコ(猿田彦大神)の日本神話より
- 導き:サルタヒコ(猿田彦大神)の日本神話より
集落を守る厄除け、集落を繁栄させるということから結びついた縁結び、安産祈願、子孫繁栄、夫婦神が象に祀られていることから夫婦円満、男女和合、そしてサルタヒコ(猿田彦大神)と結びついたことから旅行や導きのご利益があるとされています。
※サルタヒコ(猿田彦大神)は、日本神話の天孫降臨の時にニニギノミコト(邇邇芸命)の道案内をしたことに由来。